今回のテーマは『三陰交を強く押しすぎるとどうなるのか?』です。
この記事を書く理由は『出産が進まないからと三陰交を強く押す助産師さんがいるから』です。
出産中に強く押されて痛かったと産後にもずっと悩む妊婦さんがいます。
強く押すこと自体は問題ありませんが、もしそれがメカニズムを理解せずに押していたら問題になります。
今回のテーマを紐解くために、三陰交を押すことで安産になるメカニズムお伝えします。
三陰交が効く理由
三陰交が効く理由は子宮に反射が出るからです。その反射が出るメカニズムは自律神経反射です。
ーーーーー主張ーーーーー
ツボのメカニズムはこの自律神経反射である程度説明できます。
自律神経反射は3つあります。
体性-自律神経(内臓)反射
自律神経(内臓)-体性反射
自律神経(内臓)-自律神経(内臓)反射
このうちの『体性-自律神経(内臓)反射』が、ツボを押すことで起きるから効果があります。
これは体表を刺激した時に脊髄を介して反射が起きて、内臓が反応を起こすためです。
こういったメカニズムでツボを押すと内臓などに効果が出ます。
ーーーーー具体例ーーーーー
場所によってどの内臓に反射が出るかが変わります。
それはデルマトームである程度説明できます。
皮膚文節と言われるデルマトームの表を見てみます。
この線は頚神経叢、胸神経叢、腰神経叢、仙骨神経叢の分布を表しています。
それらの内蔵の支配領域も見てみます。
この神経の繋がりがある場所に反射が出ます。
三陰交があるのは足の内くるぶしです。
足の内くるぶしは仙骨神経叢の支配領域です。
正確に言えばS2(第2仙骨神経)です。
そのS2(第2仙骨神経)は子宮の支配もしています。
そのために三陰交を押圧することでS2(第2仙骨神経)を刺激し、子宮に反射が出ます。
これはS2(第2仙骨神経)の支配領域のどこを刺激しても、子宮に反射が起こりえます。
ですが、反射の出方はそれぞれ違います。
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子宮に反射が出るツボ
同じ仙骨神経のデルマトーム上にある至陰(足の小指のツボ)も婦人科で有名なツボです。最も有名なのは逆子ですが、安産としても有名なツボです。
この至陰を刺激した研究結果に以下のようなものがあります。
子宮の収縮回数が増えて、収縮力が増した
三陰交の研究では以下のような結果でした
子宮の血流量が増加した
これは研究によって違いますが、場所によって少しづつ効果が違います。
ですが、基本的には子宮に反射が出るから効果があります。
そして、子宮に反射が出ることで子宮の収縮のバランスが良くなり、お産がスムーズになるというのが三陰交で安産になるメカニズムです。
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また、この子宮に出る反射を利用して体調を良くするのが鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師の施術です。
その刺激(押圧の場合)は強さ、押す時間、押す回数によって変わります。
これを適度な強さにコントロールできる施術者が上手な人になります。
この刺激量が関係するのが冒頭で話した『出産が進まないからと三陰交を強く押す助産師さんがいるから』という話です。
ーーー重要なことはーーーー
刺激は強くすればするほど反射は起きやすくなります。
刺激が強いほどそれに対する反応も大きくなります。
最もわかりやすいのはもみ返しだと思います。
強く押すほど筋肉が反射(反応)を起こしてしまい、揉み返してしまいます。
程よい刺激であれば血流が良くなり、筋肉が柔らかくなり、反射が適度に出ることで体調が良くなります。
他の例で挙げれば、薬もわかりやすいと思います。
薬は適量であれば、症状が寛解し体調が良くなります。
ですが、量が多いと反応が強く出てしまい副作用が強くなってしまいます。
つまり、生体に対する刺激量は適度がいいということです。
出産が進まないからと陣痛で痛みを感じている妊婦さんが痛みを感じるほど押して仕舞えば効果はでにくくなります。(陣痛で痛みを感じている以上に刺激をしないと痛みを感じることは難しいので、ものすごく強く押しているはずです。)
ーーーーーまとめーーーーー
これが三陰交を押すことで安産になるメカニズムであり、それを押す時の刺激量です。
このメカニズムを理解せずに押している助産師さんがものすごく多くいます。
『メカニズムを理解せずに押される恐怖』も理解するべきです。
それについては別の記事に記載します。